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2023年度の活動内容 |
チュートリアルセミナ および 研究発表会
【日時】
2023年6月10日(土) 13時~17時
【場所】
阪南大学 あべのハルカスキャンパス
あべのハルカス23階(阪南大学フロア)セミナー室2・3
【内容】
1)チュートリアルセミナ(13時~)
「ランダム有限集合に基づく状態空間モデルでの状態推定による複数対象の同時追跡」,
生駒 哲一(日本工業大学)
[概要]
複数対象の同時追跡を状態空間モデルに基づき行う方法として, ランダム有限集合による定式化と,いくつかの実用的な状態推定法 が提案され実用にも供されている.本チュートリアルでは,
これらの理論と方法論について解説する.詳細な項目としては, ランダム有限集合に基づく状態空間モデルと状態推定の形式的な解, より実用的な近似を伴う形式的解として①確率仮説密度PHD,および,
②複数ベルヌーイ,の2つを採り上げ,これらに基づく状態推定アルゴリズム の詳細について説明する.いくつかの応用事例も紹介する.
2)研究発表(暫定版:14時~17時:各30分)
「機械学習による自動運転の過信・依存度推定の試み」,
荒川 俊也(日本工業大学)
[概要]
近年,予防安全システムが隆盛する中,システムに対する依存が起因
した事故が発生している.しかし,何が要因となりシステムに対する
依存が生じているか,詳細に検討されていない.一方で,システムに
対する依存を推定し,ドライバにフィードバックするシステムが開発
されれば,正しく予防安全システムを使う観点で有益になり得る.
本発表では,ドライビングシミュレータ環境において,高速道路走行
時に予防安全システムを使用することを想定し,ドライバの運転行動
や視線挙動の観点から依存度を推定する試みについて報告する.
「人物追跡における照明変動の推定と補正」,
〇土居 元紀,石川 喜貴,西 省吾,来海 暁(大阪電気通信大学)
[概要]
カメラ映像を用いた人物追跡はセキュリティ等で重要な課題であり,
DeepSortなどの物体追跡モデルが使用されている.人物の追跡には
衣服の色情報が重要だと考えられるが照明色の変動により人物画像
の色情報は変化するため,追跡精度に悪影響を及ぼす.本研究では
映像の各フレームから色平均を用いて照明色を推定し,追跡対象の
色補正を行う手法を提案する.DeepSortを用いた実験を行い,その
結果,照明の変動による追跡精度の低下を抑えることが確認できた.
「Causal Impact によるECサイト売上におけるCovid-19 の影響」,
〇高橋 啓,竹田 愛佳,江口 真紀(福岡工業大学)
[概要]
ECサイトでは品目により Covid-19 による影響が異なる.この影響を明らかにするには,
その影響がないという半実仮想との比較が必要である.本研究では,回帰不連続デザイン
の枠組みで考え,影響があると判断される開始時期をベイズ・ファクターで決定し,
その影響量をCausal Impact で推定する.
「状態空間モデルを用いた住宅価格の逐次推定に関する検討」,
山田 慧, 〇岡本 一志(電気通信大学), 柴田 淳司(東京都立産業技術大学院大学)
[概要]
不動産価格予測は,市場の特殊性や誤差の分散が不均一であることから
困難な問題として,広く研究されてきた.線形回帰モデルや機械学習を
用いた予測モデルが提案されてきたが,これらは逐次的に変化する不動
産市場の変化に対する想定が無く,モデルの再学習による学習コストの増加や,
前期の状態を踏まえた市場の変化を学習することができない.本研究では,
状態空間モデルを住宅価格推定に適用し,住宅価格予測モデルのパラメータ
を逐次的に更新する手法について検討する.
「不等間隔時系列データに対する動的グラフ学習」,
髙橋 優輝,〇岩崎 悟(大阪大学)
[概要]
与えられた頂点上の時系列データから,背後にある動的なグラフ構造(重み
付き隣接行列の時系列)を推定する方法を動的グラフ学習という.既存の
動的グラフ学習の方法においては,与えられた時系列データが時間等間隔
で得られている状況が想定されている.そこで本研究では,既存の動的
グラフ学習の方法を時間不等間隔で得られた時系列データに対しても適用
できるように拡張を行った.本発表では,提案手法の紹介と,提案手法を
人工的なデータに対して適用し既存手法と比較を行った結果を紹介する.
「幾何学的特徴データの抽出について」,
松田 健(阪南大学)
[概要]
本発表ではデータに含まれる幾何学的構造の特徴付けについて発表する
【意見交換会】
会場の近隣にて,開催しました.
【発表・参加の申し込み】
URLフォームからの受付は,終了しました.
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合宿研究会(宿泊は各自で手配)
【日時】
2023年9月1日(金)14時~夕方,9月2日(土)10時~昼
【場所】
愛媛大学 工学部 4号館 E421 401室
【内容】
〔初日〕14時~夕方
1)チュートリアルセミナ
「状態空間モデルと状態推定の基礎から最前線へ」,生駒 哲一(日本工業大学)
2)参加者の自己紹介・研究紹介
参加者各人の自己紹介や研究の紹介を,簡潔にお願いしました.
〔2日目〕10時~昼
3)勉強会
「Denoising Diffusion Modelとその最前線」※下記の論文を読解しました.
・Francisco Vargas, Will Grathwohl, Arnaud Doucet,
"Denoising Diffusion Samplers", arXiv preprint, arXiv:2302.13834,
2023.
・Jonathan Ho, Ajay Jain, Pieter Abbeel,"Denoising Diffusion Probabilistic
Models",
34th Conf. on Neural Information Processing Systems (NeurIPS 2020), 12 pages, 2020.
4)研究相談会
日頃の疑問や困りごと等,研究に関する相談について,相互に情報を交換しました.
【意見交換会】
初日の夕方より,近隣で開催しました.
【参加等の申込み】
URLフォームからの受付は,終了しました.
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自由見学・研究報告会
【日時】
2023年10月31日(火)
【場所】
福岡工業大学
【内容】
1)自由見学(各人で申込み)
音とモノづくりの歴史資料館
https://www.fit.ac.jp/shisetsu/kyoiku/rekishi_shiryokan
2)研究報告会:13時半~17時頃
場所: B棟3階 37教室
https://www.fit.ac.jp/shisetsu/campus/map/
(1)「動画像追跡における尤度の設計と矩形領域の大きさ推定」,
生駒 哲一(日本工業大学)
[概要]
粒子フィルタによる動画像での検出前追跡にて,対象物 の形状を矩形で大雑把に捉え,
ピクセルごとに対象物を 判定する素朴な尤度を用いるとき,矩形領域の大きさを
状態に組み入れ推定する定式化がよく使われる.
大きさを正しく推定する為には,尤度を適切に設計する必要があり,
複数対象追跡での分離可能な尤度がこれにあたる.
そこでは,ピクセル毎の独立性を想定しているが,
色ヒストグラムなどの集計的な特徴量では,この想定は直接的には使えない.
本研究報告では,その改善を提案する.
(2)「3次元モデルの撮影計画手法の検討と実証実験のためのデータ収集」,
〇藤井 美穂(福岡工業大学大学院),前原 秀明(福岡工業大学)
[概要]
空中写真測量では前後左右の重複を考慮しながら格子状に空撮する手法を採るが,
立体的かつ複雑な構造物に対してはユーザの意図したモデルにならないことがある.
よって撮影位置及び撮影経路を事前に計画する最適撮影計画手法が提案されている.
近年では,人が立ち入れない場所へ手軽に飛行可能なUAVの活用ニーズが高まっていることから,
我々はUAVの使用を前提に建設現場に適した最適撮影計画手法を模索することにした.
本研究では先行研究の提案手法を一部拡張した手法を用いて,建造物の3次元モデルを生成,考察する.
加えて,手法の有効性を検証する目的で行った実験データの収集結果について報告する.
(3)"Dynamic Team Rating for Sports",
高橋 啓(福岡工業大学)
[概要]
スポーツにおけるチームレイティングの代表的な手法の一つにColley Modelが挙げられる.
このモデルを動的逐次レイティングにそのまま適用すると,
ゲームがないチームのレイティングが変動するといった問題点が生じる.
本研究では理論面から望ましい性質を定義し,それを満たすモデルを提案する.
(4)「深層モデルの脆弱性について」,
川本 一彦(千葉大学)
[概要]
深層モデルは,敵対的攻撃を代表として,深刻な脆弱性が存在することが知られ
ている.本発表では,深層モデルが持つテクスチャバイアスや周波数バイアスの
観点から脆弱性について議論する.さらに,敵対的訓練によりこれらのバイアス
を緩和できることを,我々の研究事例から紹介する.
(5)「展開型ゲーム木からヒントを得た多車体相互作用評価のための木探索手法の提案」,
〇松尾 龍之介(九州工業大学), 我妻 広明(九州工業大学)
[概要]
囲碁などの対戦型ゲームは,ゼロ和ゲームとしてモデル化できることが知られている.
最善手を選ぶ最適化計算は,分岐木で表現され,最大値と最小値を交互に選択する
minimax探索などの手法が提案されている. これらの木探索手法を,
自動車多車体の行動予測モデルとして活用することを考えると,
ゼロ和ゲームが必ずしも成立しない.
つまり,合流など互いの利得が相反するケースがゼロ和としても,
複数車線で同方向に衝突なく進行することで全体利益が増大するケースは,
非ゼロ和ゲームが妥当なモデルと考えられる.
このように,交通環境下では車両間の利得関係が状況によって変化する.
そこで本研究では,自動運転多車体シナリオ生成手法として,
利得の状況依存性に適応的にモデル生成する方法を提案し,
木探索手法による計算機実験で評価を行う.
【意見交換会】
夕方より,近隣エリアで開催しました(事前申し込み制.費用は実費).
【発表・参加の申し込み】
フォームからの申込みは,終了しました.
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研究集会
科研費 基盤研究B(21H03553)研究集会
【日時】 2024年3月15日(金) 午後
【場所】 電気通信大学
創立80周年記念会館「リサージュ」 3階フォーラム
https://www.uec.ac.jp/about/profile/access/
※正門隣の「4」の建物です.
【研究キーワード】
・動的システム/システム制御/システム科学
・状態推定/状態検知
・最適化/パラメータ推定
・機械学習/深層学習/強化学習/知能情報技術
・データ科学/データ同化/時空間データ解析/予測
・マシンビジョン/自然言語理解/センサ融合
・ヒューマンセンシング/ソーシャルセンシング
・人間―機械インタラクション
・創発/知識発見/自己組織化/自律システム
・バーチャルリアリティ技術/ウエブ実装
・並列実装技術/ネットワーク実装
【研究集会の特色】
・成果報告よりも質疑応答を重視
『発表した』という既成事実をつくる為の会合ではなく,
研究の核心部について,知見を共有し,智慧を出し合う.
・結果よりも経過を重視
『良好な結果の報告』に限らず,研究初期の構想段階から,
途中経過の報告や,困難な箇所の学術的・技術的な相談,
良好ではない結果の報告など,多様な発表を歓迎します.
・理論から応用まで幅広く
理論,方法論,実装技術,実験的デモンストレーション等,
理論から応用までを幅広くカバーし,包括的な議論を行う.
・異分野交流
異なる専門分野の発表者・参加者が意見を交換することで,
新たな知見を創発できる場を醸成する.
【当日のプログラム:13時半~17時半過ぎ】
1.基調講演:13時半~14時半
「深層学習における敵対的デザイン」
川本 一彦(千葉大学)
[概要]
深層モデルは、敵対的攻撃、雑音・外乱、ドメインシフトなど
に対して一般に脆弱である。本講演では、このような脆弱性に
対するロバスト化法について、我々の研究事例を紹介する。
2.研究発表:14時半~17時半(1件あたり30分)
(1)「状態空間モデルへの変分ベイズ推論アプローチと素朴数式モデルのPyro実装」
生駒 哲一(日本工業大学)
[概要]
深層マルコフモデル(深層カルマンフィルタ,構造的推論ネットワーク)は,
状態空間モデルの状態遷移と観測過程にニューラルネットの非線形写像を充て,
ガウス分布の平均ベクトルと分散行列の対角要素ベクトルや,各カテゴリの生起
確率等をニューロに出力させ,時系列データの背後にある構造をモデル化する.
従って,潜在変数である隠れ状態は,ニューラルネットによる分散表現となり,
その意味解釈に困難が生じ得る.既存の数式モデルや,状態推定アルゴリズム
との親和性にも,解決すべき課題がある.本研究では,素朴な数式モデルを
深層マルコフモデルの枠組みに当てはめることから開始し,上述の課題に迫る.
実装では,Python言語のPyTorchに基づき,変分推論に特化したPyroを用いる.
(2)「自律移動ロボットの粒子フィルタによる自己位置推定シミュレーションの簡易実装」
〇渡邉 龍生,生駒 哲一(日本工業大学)
[概要]
自律移動ロボットの基本機能には自己位置姿勢,地図学習,周囲の移動物体把握等があるが,
最も簡単な自己位置姿勢の推定に焦点をあて,実機を想定したシミュレーション環境を
簡易的なプログラミング方法で試作し,その動作を確認した結果について報告する.
(3)「新聞ビックデータのword2vec解析で見るビジネスカタカナ語の特徴抽出」
〇岡野 瑠依(日本工業大学大学院),荒川 俊也(日本工業大学)
[概要]
「使うのを控えるべきビジネスカタカナ語」と「使った方がいいビジネスカタカナ語」の
線引きは曖昧であり,現代において使うに不適切なカタカナ語が使われている可能性が懸念される.
そこで,約30年の朝日新聞の新聞記事ビッグデータについて,年代毎の記事をword2vecにより解析
することにより「ビジネスカタカナ語の特徴」抽出の可能性を検証する.そして,ビジネス
カタカナ語本来の意味が,年代につれ変遷していくことで,その用法が適切であるか否かを考察する.
(4)「種々の深層ファジィ推論モデル」
関 宏理(大阪大学)
[概要]
近年,深層学習が様々な分野で良好な結果を得られており,活発に研究されている.
しかしながら,深層学習は入出力関係が不明であり,構造がブラックボックスであることが問題として挙げられる.
一方,ファジィ推論モデルはIf-Thenルールで記述されているため,人間が直観的に理解しやすい構造となっている.
本発表ではファジィ推論の中でも近年注目されているいくつかの深層ファジィ推論モデルについて説明する.
また,時系列モデルや不均衡データに精度よく対応できる深層ファジィ推論モデルについても述べる.
(5)「住宅価格予測モデルの時間経過による精度劣化に関する分析」
〇寺﨑 海翔(電気通信大学),岡本 一志(電気通信大学),柴田 淳司(東京都立産業技術大学院大学)
[概要]
住宅価格査定は不動産市場の特性により,適正な価格の決定が困難である.
既存研究では様々な予測モデルが提案されているが,経時的な影響は明らかではない.
本研究では,LIFULL HOME’Sデータセットのうち政令指定都市,
東京23区の新築戸建と賃貸マンションを対象に,学習から予測までの期間を設け,
5つの予測モデルの劣化を評価する.実験の結果,全てのモデルで精度低下を確認した.
特にkNNは新築戸建と賃貸マンションともに学習直後に最も良い精度を示したが,
12ヶ月後には最も悪化することを確認している.
(6)「画像-言語モデルを用いたゼロショット行動認識」
呉 楠,計良 宥志,〇川本 一彦(千葉大学)
[概要]
ゼロショット行動認識は初見クラスのビデオ行動を予測する課題で,データラベル付けを必要とせず,
事前にあらゆる行動ビデオを用意する必要もないため,実世界への適用可能性が高い.
一方で,発展途上の技術であり,精度向上の余地は大きい.
本研究では,画像-言語モデルと大規模言語モデルを併用する方法を提案する.
【意見交換会】
夕方より,近隣で開催しました(実費).
【参加の申込み方法】
フォームからの申込は終了しました.
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